■脳と心臓 そもそも脳と心臓とはかけ離れた臓器のように感じているかもしれませんが、実際は非常に密接な関係があります。どちらも血液が大量に流れている循環臓器なのですから。では、大きな違いは何かといううと、心臓は筋肉の塊で脳は神経の塊だということです。 人間の体の中には約5000ccの血液が流れています。その血液は心臓という強力なポンプのおかげで全身を駆け巡っていますが、実にその20%は脳へと注ぎ込まれています。 この脳は心臓から送られてきたブドウ糖をエネルギー源として神経に電気エネルギーを発生させています。つまり心臓から送られてくる血液がわずかでも滞ってしまえば、たちどころにその機能を停止してしまうのです。 一方の心臓というポンプも収縮するリズムは自分自身で作り出していますが、その収縮のエネルギーは心臓自身が送り出している血液の中のブドウ糖によって供給されているのです。 ■脳の病気 こうした状況から考えれば脳の病気というのはある程度予測できるものとなります。 心臓から送り出された血液が脳に届かなければ脳の働きは止まってしまいますし、神経が正確にその電気エネルギーを伝えることが出来なければ脳は正常に機能しないことになります 血液が脳に届かなくなった状態が脳梗塞ということになります。 この血液が脳に届かなくなるためには 1.心臓から血液がうまく脳に流れていかない 2.脳に行く途中の血管に狭くなったり詰まっている所がある 3.血液を廻っている異物が脳に行く血管に詰まってしまった というような状態が考えられます。 1.は要するに心臓から血液がうまく流れてこないわけですから、こういった状況は心臓に問題がある場合になります。心筋梗塞で心臓の筋肉がうまく働かない・心臓の血液が逆流防止弁の異常できちんと心臓から脳に送られない・心臓が正しいリズムで収縮しないため脳にうまく血液が流れない・・などという状態です。 2.は心臓を出た血管が頸動脈で流れを阻止された場合とか脳には無事に届いたものの脳の中にはいってから脳の中の血管が狭くなっていて脳全体に血液が回らないなどの状況が考えられます。 こうした状態を脳血栓といいます。 一方、3.は俗にいう脳塞栓を起こす状態となります。多くの場合は心臓の中に血の塊である血栓があり、それが何かのはずみで脳に流れて行ってしまった状態です。 このような状況を事前に確認する検査が脳MRIあMRAであり、頸動脈超音波検査や心臓の超音波検査になるわけです。 ■脳の血管障害 脳の血管障害の多くの原因は高脂血症と言われるものです。悪玉コレステロールであるLDLコレステロールや中性脂肪が血管の壁にたまって血管を狭くしてしまうというものですが、この血管障害は脳の血管だけに起こるわけではありませn。所詮血管は全身で同じ境遇にあるのですから、高脂血症が認められる限り、その影響は脳と心臓の両方で発生してくるわけです。 脳で血管障害が発見されたから脳の治療をするというのは明らかな片手落ちです。そうした血管障害がある以上、同時に心臓にもなんらかの影響が出ているはずなのです。 ですから脳に異常があった場合は心臓の検査は必須ですし、その逆もあるわけです。 そしておの根底である高脂血症の治療なくして脳や心臓の血管障害の予防はできないということになるのです。 ![]() ■血圧と心臓 高脂血症と同時に考えなくてはいけないが高血圧です。そもそも高血圧の大きな原因は塩分と言われていますが、塩分だけ過剰に摂取しているわけはありません。そのほとんどは過食や食習慣の偏りによるものです。ということは、高脂血症と高血圧は併存する可能性がとても高いということになります。 血圧が高いということは心臓から先の血管が動脈硬化などで狭くなったために抵抗が増えてしまったためという可能性も高くなります。 塩分が多くなった場合は血液自体の水分量が増えることになるため心臓は血液をたくさん運ばなくてはならなくなり、その負担は心臓に帰ってきます。抵抗が大きくて血圧が上がっている場合も押し出すための力が余分にかかるため心臓の負担が増えます。 こうして増えた負担を背負った心臓に出る変化が心臓肥大です。 肥大した心臓は決して手足の筋肉が鍛えられて太くなったのとは違います。負担の結果大きくなってしまっただけなのです。こうした負担はやがて心臓の筋肉を疲弊させしいては心不全といった状態を作り出すのです。 現在は心肥大が心不全を伴っているかどうかを確認するための様々な検査もあります。 最近疲れやすい・手足がむくむなどという症状は心不全の可能性も考えなくてはいけないのです。 続きはまた後日・・・ |
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